プロダクトづくりにおいて、なぜプロダクトアナリティクスが必要なのか
──Amplitude創業の経緯について教えてください。
われわれは当初、Sonalightとして音声をテキスト化するアプリを開発していました。その時に、「アプリがどのように使われているのか」「どこでユーザーはつまずいているのか」「イライラを感じているのか」「共通してよいと評価してもらっているのはどこか」などについて知りたいと思ったのですが、当時われわれの疑問に答えられる製品はありませんでした。ダウンロードの数、ユーザーの数などのことは分かりますが、これらは本当に価値あるインサイトは得られない「見栄えのよい虚栄の指標(vanity metrics)」にすぎません。
そこで自分たちで、これらを実現する製品を構築したのですが、それを見た他の企業から、自分たちも同じものを使いたいと言われるようになりました。企業はどこも単なる虚栄の指標ではなく、カスタマージャーニー(顧客が製品の購入やサービスの利用に至るまでの道のり)を把握したいと思っていたのです。
市場があると実感したことから、Sonolightの開発を終了し、プロダクトを分析するためのインフラ構築に専念することにしました。これが2012年のことです。2年後の2014年にAmplitudeをローンチしました。
──日本ではまだプロダクトアナリティクスの認知は高くありません。なぜプロダクトアナリティクスを使う必要があるのでしょうか?
プロダクトを公開し、ユーザーが増えたとします。しかしユーザーはどの機能を気に入っていて、どの機能を使いにくいと思っているのかは分かりません。事実が分からないままプロダクトを改善するのは非効率です。
プロダクトアナリティクスを使うと、それが分かるようになります。つまり、プロダクトアナリティクスはモバイルアプリやWebサイトの操縦室(コックピット)のようなもので、プロダクトを構築する人はプロダクトアナリティクスを使いながら、自分たちのプロダクトが狙い通りの効果をもたらしているのかを知ることができます。どのように使われているのかが分かれば、さらにプロダクトの機能やUIを改善できます。