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プロダクトマネジメントの基本を学ぼう

一気通貫したプロダクトをつくるための思考法、プロダクトの“4階層”とは?

プロダクトマネジメントの基本を学ぼう 第12回


 第11回で一度完結した本連載だが、第6回で紹介したプロダクトの「強い軸」に読者の皆様からフィードバックをいただき、よりブラッシュアップした思考法を整理することができた。この一気通貫したプロダクトをつくるための思考法を第12回として紹介したい。これはプロダクトマネージャー自身での思考法としても、プロダクトチームが今どこにいるのかを確認するためにも有用であるはずだ。

前回記事

第11回「単なるKGI/KPIではNG? PMがプロダクトの成果を正しく計測するために必要な考え方

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第6回「あなたのプロダクトに「強い軸」はありますか? ぶれない意思決定のために、PMが押さえるべき3つの観点

一気通貫していないプロダクトの問題とは

 ユーザー体験は「点ではなく、線で設計しなければならない」とはよく言われるが、裏を返せばユーザー体験が場当たり的になっていて全体として使いづらくなっているプロダクトが多くある。こういったプロダクトは、最初から場当たり的な体験を作ろうとしているのではなく、ユーザーに求められる機能を次々に追加してユーザーの声に応えた結果、場当たり的になってしまっていることがほとんどだ。

 ユーザー体験以外にも、例えばビジネス面を管轄する部署がプロダクトチームから独立していて、プロダクトの価値からすると誤った値付けがされておりプロダクトの事業価値を最大化することができていないプロダクトもある。これは、組織の分断がそのままプロダクトの一気通貫性の分断につながってしまう問題の一例だ。

 プロダクトの成功のために、事業価値と顧客価値を最大化することがプロダクトマネージャーのミッションだ。そのためには、これらの問題を乗り越えなければならない。

プロダクトを階層構造で捉える

 プロダクトを一気通貫させるためには、各意思決定に必要な前提条件の因果関係の認識を合わせる必要がある。つまり、例えばそのプロダクトのターゲットユーザーを変更したときに、プロダクトのどこにどんな影響がでるのか、そしてそのためにはどの担当者に声をかけなければいけないのか、という関係性を明らかにしておくことで、各意思決定がプロダクトにどのような影響を与えるのかを認識し、プロダクトに一貫性を生み出すことができる。

 しかしながら、プロダクトをつくる上での意思決定の数はとても多く、またプロダクトによっても異なる。例えば、先のターゲットユーザーを変更したときに影響があるものは、競合とするプロダクト群、カスタマージャーニーマップ、ビジネスモデル、コスト構造、プロダクトの価格、ロードマップ、プロダクトのUI、ユーザー数の増加に耐えうるようなシステム設計、マーケティング戦略などと多岐にわたり、その全ての関係性を表すことは困難を極める。そのため、まずは、プロダクトをつくる上での意思決定を4つの階層に分けることとした。各階層をCore、Why、What、Howとする。下図に表すこの4階層は、上にあるものの方が抽象度が高く変更することによって下にある階層に影響を与えるという関係だ。

プロダクトをつくる上での4階層
プロダクトをつくる上での4階層

プロダクトの4階層――Core、Why、What、How

 プロダクトのCoreには、そのビジョン・ミッションやそのプロダクトの事業戦略といったプロダクトの根幹を成すものが含まれる。これらを変更することは、その他のプロダクトの全てに影響を与えるということだ。

 プロダクトのWhyには、ビジョンをより分解して「誰」を「どんな状態にしたいか」を表すターゲットユーザーやそのペイン・ゲインが当てはまる。また、「なぜ自社が行うのか」を説明するための戦う市場や競合の定義と、それらをどのように分析しているのかが当てはまる。

 プロダクトのWhatは、Whyを何で実現するのかにあたるユーザー体験とビジネスモデル、そしてそれらをどの順番でどの高さを目指していくのかといった優先度が含まれる。そのため、指標やロードマップもこの階層で検討すると良いだろう。

 最後に、プロダクトのHowには、プロダクトのUIや設計・実装、そしてユーザーにどのようにプロダクトを提供するのかを示すGTM(Go To Market)が当てはまる。他にもプロダクトの利用規約や、カスタマーサポートのためのドキュメント作成など、プロダクトを運営するために必要になる成果物もこの階層だ。

 多くの場合こういった4階層に分類することで各意思決定の関係性が明らかになるが、プロダクトによってはこの限りではない点に注意したい。例えば、優れた機械学習モデルが強みの企業では、その機械学習モデルで何ができるのかをもとにプロダクトアウトにプロダクトの価値を定義していく。その場合には、その機械学習モデルの技術要素はプロダクトのHowではなく、プロダクトのWhyである「なぜ自社がするのか」に当てはまることになるだろう。この4階層をベースに、各プロダクトに合わせてカスタマイズして読み替えてほしい。

次のページ
プロダクトの4階層の活用方法

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この記事の著者

及川 卓也(オイカワ タクヤ)

 早稲田大学理工学部を卒業後、外資系コンピューターメーカーに就職。営業サポート、ソフトウエア開発、研究開発に従事し、その後、別の外資系企業にてOSの開発に携わる。その後、3社目となる外資系企業にてプロダクトマネージャーとエンジニアリングマネージャーとして勤務後、スタートアップを経て、独立。2019年...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

曽根原 春樹(ソネハラ ハルキ)

 Fortune500系外資企業に入社後、SE、カスタマーサポート、マーケティングなど様々な役職を日米で従事。その後シリコンバレーでプロダクトマネージャーに転身。B2B、B2C領域で米系大企業・スタートアップの双方でプロダクトの世界展開に携わる。現在はSmartNews社米国法人にて日本のスタートア...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小城 久美子(コシロ クミコ)

 toC向けサービスを提供するWeb系企業に入社し、その後いくつかの企業で新規事業の立ち上げなどにエンジニア、スクラムマスターとして携わる。どう作るかより何を作るかに興味関心が移り、プロダクトオーナー/プロダクトマネージャーに転身。プロダクトマネジメントについてより深めるために、2019年よりTab...

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