Time to Valueを高速化する上で重要な考え方
脱炭素経営のためのCO2排出量見える化SaaS「アスゼロ」では「Time to Valueの高速化」に組織で取り組んでいます。「Time to Value」はプロダクト理解までの時間のことであり、その高速化は「プロダクトを体験したユーザーが、その価値を感じるまでの時間を最短にする」取り組みです。
私たちがこの取り組みに力を入れることになったのは、脱炭素施策の規則強化や算定ルール開示が昨今ますます激しくなってきたことが背景にあります。
2022年の東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードの変更に伴い、企業のサステナビリティ情報の開示状況は一変しました。プライム市場を中心に、上場企業は開示が当たり前の状況。自社だけでなく、取引先・サプライチェーン全体のCO2排出量の可視化は当たり前といった状況が現在の日本です。しかしやらなければならないものの、初めて取り組む企業では「どうすればいいか分からない」「時間がかかる」といった声が多く聞こえました。2023年5月に日本のGX推進法で炭素賦課金の制度が成立し、企業の利益に大きく影響することも明らかな状況です。顧客の課題も以前から一層深刻さを増しています。
上場企業を中心に取り組むCO2排出量の算定には、製品を納入するサプライヤー側にも同様の圧力がかかっています。二次、三次サプライヤーと連携が開始され、日本国内のすべての産業に影響があり、中小企業としても重要なテーマになっています。世界ではすでに法規制や炭素税も開始される国もある状況から、喫緊の課題として取り組んでいる企業も少なくないのです。
上場企業、サプライヤー共に常に新しいルールが策定され、ニーズや対応が目まぐるしく移り変わっていく状況だからこそ、顧客へより早期に課題解決・ソリューションを提供しなければならないのではないか、と考えています。プロダクトが顧客に一層スピーディーに価値を提供する状況だからこそ、「スピードを持って機能を体験・理解してもらう」という背景でTime to Valueの高速化を推進しています。
では、Time to Valueの高速化のためには何が重要でしょうか。その答えは、顧客に「シンプルでありながら、本質の価値」を届けることです。新しいルールを正しく解釈し、無駄を省いた、筋の良い解決方法を提案することです。このためには、ルールを上辺で解釈するのではなく根本を理解し、シンプルでありながら本質の価値を提供することが重要です。そこで今回と次回に分けて、BtoBビジネスの「未知のルール・ビジネスドメインへの向き合い方」と「Time to Valueの方法論」を2つに分けて説明します。