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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

ProductZine Day 2024 Summer

ProductZineイベントレポート

STORES の元プロダクト責任者が語る、「意思決定者」の役割を引き継ぐ方法

「ProductZine Day 2024 Winter」レポート


自分と似ていない人に引き継ぐ理由

 続いて御守氏は、前任者である塚原氏の意見を紹介するべく、両者の対談のビデオを用いて説明した。塚原氏が御守氏を後任に選んだ背景には「自分とまったく似ていない人」という条件があった。同じタイプの人は周囲から前任者と比較されやすく、一方で異なる強みを持つ人はその個性が認識されやすいと考えたからだ。

講演で紹介された御守氏と塚原氏の対談ビデオの様子
講演で紹介された御守氏と塚原氏の対談ビデオの様子

 引き継ぎの期間も、1〜3か月といった短いものでなく、半年〜1年ほどで考えていた。シニアクラスのメンバーは中長期的なミッションを担うことが多いため、期待する成果を出すには時間がかかることを理解していたからだ。塚原氏から当初「半年はかかる」と言われていたことで御守氏も安心したという。

 自身の役割を後任に引き継ぐメリットについて塚原氏は、新しい視点の導入と、前任者への依存からの脱却にあると説明した。単に前任者の仕事を引き継ぐだけでなく、新たな思想やアイデアを積み重ね、新しい価値を加えていくことが望ましい。引き継ぎは、組織と個人のキャリアにとって新しい層を積み重ねる行為であると言える。

対談から分かった引き継ぎに立ち向かう姿勢
対談から分かった引き継ぎに立ち向かう姿勢

 御守氏は発表のおわりに「成長の機会として前向きに引き継ぎに取り組んでいただきたいですし、引き継ぎに取り組む方のヒントになればすごく嬉しいです」とコメントし、以下のとおり参加者からの質問にも回答した。

Q:相手が自分と異なる考え方だった場合に、それが有益な考えであるかどうかの判断が難しいと思う。

 違いが存在すること自体に価値があるが、それが正解であるとは限らない。そのため、対話を通じて解決する。意見が分かれる場合、双方の立場からどちらが組織にとって最善かを検討する。調整と合意形成には時間がかかる場合もあるが、日々の対話を通じて解決へと導くことができる。

Q:御守氏の引き継ぎはうまくいったように見えたが、苦労したことについて教えてほしい。

 引き継ぎのプロセスには時間がかかった。8か月間毎日1対1のミーティングを行ったが、これにより互いの思考の癖や考え方の核心を理解するのに時間が必要だった。幸い、プロダクト開発において最も重視する点、すなわちユーザーの視点で物事を考えることに関して、共通の理解を見いだすことができた。35万文字に及ぶ会話のログを振り返ると、双方が多くの悩みを抱えていたことが分かる。引き継ぎは、前任者にとっても新しい挑戦であり、双方が新しいチャレンジをしているという点で、非常に難しいといえる。

Q:引き継ぎ先となる御守氏が事前に信頼されていたはずだが、それはなぜか。

 引き継ぎ先として選ばれた要因については、まず経歴の中でプロダクトと事業の責任者として意思決定を担った実績が一定の信頼を得ていた。また面接を通じて、ユーザーの視点で物事を考える習慣について前任者から共感を得られた。加えて私が論理的で数値に基づいたアプローチが得意であることが伝わり、直感的なアプローチを得意とする前任者とは異なる強みを持つ人材として評価され、引き継ぎ相手に選ばれた。

Q:引き継ぎにおける1on1の具体的な実施方法を知りたい。

 双方がアジェンダを持ち寄る形で、基本的に対面で行っていた。物理的に同じ空間にいることで、その場の記憶が残りやすくなるためである。例えば、コーヒーを飲みに行く、散歩するなどの活動を通じて、記憶に残りやすい環境で対話が行われていた。毎日続けることで、整理されていない、生煮えの状態の話を共有することが重要であり、お互いの思考の癖を理解するのに役立つ。

Q:共通の論点については、顧客貢献をもとにすればよいのだろうか。

 顧客にどんな価値提供するか、それによって結果、事業にどのような影響が出るのかという話を常にしていた。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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