はじめに
前回は「プロダクトロードマップ作成でのアンチパターン」として、「万能な」プロダクトロードマップを作ろうとすることの危険性や、原則論に過度にとらわれることの問題点について解説しました。
最終回となる今回は、実際にプロダクトロードマップを作成・運用していく際の具体的なポイントについて、実践的な視点から解説していきます。
プロダクトロードマップの本質を見失わないために
多くの場合、プロダクトロードマップが「使われない」理由は、作成したプロダクトロードマップ自体の出来不出来ではありません。第2回のアンチパターンでも触れたように、プロダクトロードマップのアウトプットだけにこだわってしまうと、結果として使われないプロダクトロードマップになりやすくなってしまいます。
例えば、いきなりプロダクトロードマップのドキュメントを書き始めてしまい、誰とどのように使うのかという点があいまいなまま進めてしまうケース。または、立派なプロダクトロードマップを作成したものの、更新の手間が大きすぎて継続的な運用ができなくなってしまうケース。これらは、プロダクトロードマップが「使われなく」なる典型的なパターンです。
そこで本記事では、プロダクトロードマップを作る「前」「中」「後」の3つのフェーズに分けて、それぞれで押さえるべきポイントを解説していきます。
プロダクトロードマップを「作る前」のポイント
利用シーン(誰とどのように使うのか)を具体的に定める
前回お伝えした通り、「万能な」プロダクトロードマップを作ることは避けるべきアンチパターンです。そのため、まずは「どの場で、誰と、どのように利用するのか」を具体的に決めることが重要です。
例えば、
- CxOと週次で行う定例会議での利用
- 隔週で行う現場責任者との会議体でのアジェンダとしての利用
- いつでも参照可能なドキュメントとしての利用
特に最初は会議体での利用をお勧めします。プロダクトロードマップの背景情報や用語の意図などを相互に確認できる場があったほうが、理解が深まりやすいためです。DIGGLEでは「プロダクトロードマップ定例」と題して、プロダクトマネージャー、CxO、現場リーダーのメンバーが一堂に介してプロダクトロードマップについてディスカッションをする会を2週に1回行っています。プロダクトロードマップを具体的な場で取り扱うことにより、定例会議が内容や相互理解の場として機能します。
また、利用シーンが変われば、必要な情報の粒度や表現方法も自然と変わってきます。DIGGLEでは、最初のタイミングではCxOとの認識合わせのために作成していたプロダクトロードマップが、その後、現場リーダーを含めた認識合わせの用途で使うようになった際に、まったく異なるテイストのものへと進化しました。
都度、その時のプロダクトや組織状況に合わせて、「場に合わせた」プロダクトロードマップを考え直すことが大切です。