3.「任せたくなる人」の振る舞い
ここまで、プロダクトマネージャーから経営層を目指す上での落とし穴や、実際に経営層へ成長するために必要な経験について述べました。しかしながら、それらの経験をすべて持った「準備のできた状態」に至ることはなかなかありません。それでも抜擢され、より大きな責任や裁量を任される人は「この人なら安心して任せられる」と感じる振る舞いがその裏側にあります。
3-1.迷ったときに「自分ごと」で考えられる
任される人は、物事があいまいなときほど、環境や他人のせいにせず、自分の判断軸を立てようとします。「この判断が失敗したらどうしよう」ではなく、「自分がやるなら、どうするか」。この「自分ごと化」の強さが、信頼につながります。特に経営の意思決定は不完全情報の中で行われるため、「誰かが決めてくれる」のを待つ人には、バトンは渡されず、自ら決める人が選ばれていきます。
3-2.利他的な判断を自然に選べる
任される人は、自分を取り巻く狭い範囲の成功よりも「会社全体にとって何が最適か」という視点を手放しません。リソースを他チームに渡す判断や、立ち上げたプロダクトの整理・撤退に踏み切れる胆力こそが、「全体最適を考えられる人」として評価されます。それはスキルや経験を超えた「他者のためになる」という姿勢から生まれるものでもあります。
3-3.不完全な自分を受け入れ、学び続ける姿勢を持つ
経営レイヤーの仕事に「完成形」は存在しません。常に変化し続ける環境の中で、問い続け、学び続けることが求められます。「自分にはまだ足りない部分がある」と認められる人ほど、周囲から支援され、成長の機会を得られます。謙虚さと好奇心の両立こそが、任される人の条件だと言えます。
ここまで、プロダクトマネージャーと役員の間に横たわる「谷」とその乗り越え方と姿勢について述べてきました。
こういったキャリアの上り方に決まった正解はありません。ただ確かなのは、役割を超えて挑戦し、学び、責任を引き受け続ける人こそが、その先を任されていくということです。学び続けていきましょう。