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ProductZine Dayの第4回。オフラインとしては2回目の開催です。

ProductZine Day 2025

ProductZine Day 2025

SaaSプロダクトの実例から学ぶプロダクトマネージャーとチームの理想的なあり方

BtoBからのBtoCプロダクトへの挑戦──「仮説構築」と「仮説検証」の両輪を回し続けることの重要性

SaaSプロダクトの実例から学ぶプロダクトマネージャーとチームの理想的なあり方 第5回

熱狂的ユーザーとの出会いがもたらした確信

 約半年間の開発期間を経て、2024年7月、モノグサマーケットのクローズドβ版を一部の顧客に向けてリリースしました。

 その直後、教材を購入してくれた高校生にインタビューする機会がありました。訪れたのはある高校の校舎。迎えてくれたのは、ニコニコと明るく話す女子生徒でした。

 開口一番、彼女はこう言ってくれました。

 「Monoxerで教材が買えるって聞いて、すぐ買いました!」

 彼女は大学進学を目指す高校3年生。塾にも通っており、そこで使っている英単語集のMonoxer版を購入したとのことでした。

 特に印象的だったのは、「満員電車の中で紙の単語帳を広げるのは大変だから、スマホで勉強できるのが本当に助かっている」という言葉。そして購入費用は、自身のアルバイトで稼いだお金。貴重な収入を、私たちのサービスに使ってくれていることに、心から感動しました。

 さらに驚きのエピソードも。なんと彼女は、同級生にもMonoxerマーケットを紹介してくれており、すでに5人が教材を購入していたのです。

 これは、私たちが構想してきたtoCサービスが、「実際に学習者の課題を解決している」と確信できた瞬間でした。従来のBtoBモデルでは届かなかった価値が、toCなら実現できる──その手応えを強く感じました。

初期施策の壁:ツールチップからの遷移率1.07%

 一方で、すべてが順風満帆というわけではありませんでした。

 私たちはリリースと同時に、ユーザーに新サービスの存在を知らせる「ツールチップ」をアプリ内に実装しました。新機能のリリースを気づいてもらい、そこからスムーズにモノグサマーケットに遷移してくれることを期待していたのです。

 ところが──ふたを開けてみると、ツールチップ表示から3分以内にマーケットへ遷移したユーザーは、わずか1.07%。この数値は、プロジェクトに携わった私たちにとって大きなショックでした。

 企画としての方向性には手応えがある。でも、それだけではユーザーに届かない。

 「企画が正しくても、それを伝える設計が不十分なら、価値は届かない」

 この現実を突きつけられた瞬間でもありました。

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データに基づく仮説検証:訪問率4.6倍への道筋

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この記事の著者

岩楯 恭司(モノグサ株式会社)(イワダテ キョウジ)

モノグサ株式会社プロダクトマネージャー。 早稲田大学政治経済学部卒業、英国マンチェスター大学Full-Time MBA修了。 KLab株式会社、クックパッド株式会社、弁護士ドットコム株式会社各社にて新規事業の立ち上げや事業責任者を歴任。2023年にモノグサ株式会社に入社。BtoB領域のP...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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