5.3 スケールのためにやるべき3つのこと
事業が成長し、スケールが必要になったとき、PMがまず着手すべきは以下の3つです。

1.仕組み化
繰り返し起こる課題や判断をルール化することで、属人性を排除し、チームが安定的に動ける土台ができます。具体的には以下の行動が挙げられます。
- 同じ問題を繰り返さないために、業務の仕組みを整える
- 開発プロセス、意思決定の流れ、KPI管理などを標準化する
2.再現性の確立
PMがすべてを抱えずとも、チームが自律的に動ければ、PM自身はより戦略的な課題に集中できます。具体的には以下の行動が挙げられます。
- 自分がやらなくても回る仕組みを作る
- PMが不在の日でも、開発チームや事業部メンバーが適切な判断を下せる状態を目指す
3.権限委譲
すべてを自分でやろうとすると限界が来ます。他のメンバーに任せることで、チーム全体のケイパビリティが向上し、PMは「未来」に注力できます。具体的には以下の行動が挙げられます。
- 他のメンバーに任せることで、成長の機会を提供する
- 意思決定や実行責任を分散させて、自分のリソースを空ける
スケールするためには、まずPM自身のリソースを空けることが最優先です。
5.4 「PMが依存されすぎないチーム」を目指す
「再現性を作る」=「PMがいらない」ではありません。目指すのは、PMがボトルネックにならず、チームが自律して前に進める状態です。
例えば仕様の細部を詰める判断や、ユーザーからのフィードバック対応、スプリント内のバックログアイテムの優先順位調整など、PMがいなくても動けるタスクを明示し、他メンバーが対応できるようにすることで、PMはより上位の抽象度の高いテーマに集中できます。
また、組織というのは基本的に常に人が足りないものです。必要なリーダーを1人の完璧な後任に引き継ぐことは困難でも、複数人で分担することは可能です。
つまり、「誰か1人に完全に任せきる」ではなく、「チーム全体で」プロダクトマネジメント機能を分担する発想が、スケールには欠かせません。