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ProductZine Dayの第4回。オフラインとしては2回目の開催です。

ProductZine Day 2025

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営業支援を「プロダクト」として設計する──属人化を防ぎ、成果を再現する仕組みづくりの現場から

なぜプロダクトとして設計する必要があるのか?

 営業支援をプロダクトとして設計する目的は、単に「属人化を防ぐ」ことにとどまりません。本質的な狙いは、拡張可能な営業体制を構築し、事業成長の土台を「仕組み」で支えることにあります。

 個人に依存する営業は、成果の安定性に欠けるだけでなく、再現性や組織展開の視点でも多くのリスクを抱えています。優秀な担当者が離れれば業績が落ち、拠点やチームを増やそうとしても、経験や勘に頼るスタイルではスケールに限界が生まれます。こうした制約を突破するために必要なのが、「人」ではなく「仕組み」による営業の自走化です。

 その意味で、営業はもはや「プロダクトの外側」ではありません。ユーザーとの最初の接点であり、顧客満足を上げるべく顧客との期待値を調整し、製品やサービスの価値を伝える重要なプロセスです。開発されたプロダクトがどれほど優れていても、営業体験が雑であれば、ユーザーにとっての価値は届きません。逆に言えば、営業体験こそがプロダクトの一部である──この前提に立つことが、プロダクトマネジメントにおいてますます重要になっています。

 そのうえで当社では、営業活動の「構造」「情報」「行動」を、すべて「設計対象」と見なしています。営業のシナリオ、データの取得・蓄積方法、担当者がどのように行動するか──それらが整合的に設計され、ユーザー体験として統合されている状態が、営業のプロダクト化です。これは単なるマニュアル作りではなく、開発におけるプロダクト設計と同様、「どの機能が、どの成果を生むか」という視点で因果関係を捉えた構築です。

 このように、組織・人・データの接点に「設計思想」を持ち込むことで、営業活動は属人性を脱し、持続的に進化し続ける「仕組み」になります。つまり、担当者が変わっても成果が安定し、教育コストも下がり、新たな市場にも同じ手法を展開できる。「人に頼らずに事業が伸びていく」状態こそが、エッジコネクションが目指す「自走するプロダクト的営業支援」の姿です。

おわりに(プロダクトリーダーへのメッセージ)

 プロダクトを成長させるということは、優れた機能をつくることだけではありません。その価値を誰に、どのように届け、どのように使われ、どのように継続されるか──一連のユーザー体験全体を設計することこそ、プロダクトリーダーの重要な役割です。

 特に、営業やカスタマーサクセスといった「非エンジニア領域」は、プロダクトの「届け方」を形づくる最前線です。こうした領域にもプロダクトマネジメント的な視点──すなわち、設計・構造化・再現性・フィードバックの視点を持ち込むことで、組織全体の動き方や成果は大きく変わります。

 本稿で紹介した、エッジコネクションの取り組みは、営業支援という領域を「プロダクトとして設計する」実践の一例にすぎません。しかし、こうした考え方が、これからのプロダクトリーダーにとっての新たな視野を広げる一助になれば幸いです。

 「届ける」ことまでを設計できるプロダクトチームが、これからの事業成長を牽引していく──そう確信しています。

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この記事の著者

大村 康雄(株式会社エッジコネクション)(オオムラ ヤスオ)

慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、米系金融機関であるシティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。 2007年、株式会社エッジコネクション創業。営業支援業を軸に、現在は人事・財務課題も対応する「営業・人事・財務課題伴走型支援企業」として展開。 経営危機を乗り越えた経験を生かし、コンサルティング業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/3638 2025/08/21 11:00

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