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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第4回。オフラインとしては2回目の開催です。

ProductZine Day 2025

ProductZine Day 2025

キーパーソンインタビュー

「常に1%でも改善を」──Pendo責任者/元エンジニアが語る、プロダクトを“愛される”存在に変えるSXMの哲学

「価値の可視化」を担うセールスエンジニアリングとバリューコンサルティングの役割

──現在Pendoでは、具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか?

ヤング:私の主な役割は、セールスエンジニアリングとバリューコンサルティングのチームを率いることです。Pendoがエンタープライズ事業やグローバル展開を加速させる中で、その成功を支える戦略と戦術を定義しています。

 日々の業務で特に重視しているのは、強力なチームカルチャーを築くことです。優秀な人材を採用し、彼らが長く活躍できるようなよい職場環境を作ることが何よりも重要だと考えています。パフォーマンスを最大化するためのチーム作り、これが私の日々の中心的な業務です。

──「バリューコンサルティング」とは、具体的にどのようなアプローチなのでしょうか?

ヤング:「バリューコンサルティング」とは、お客さまがPendoのソリューションを導入することで、どれだけのROI(投資対効果)が見込めるかを具体的な数値で可視化し、その価値を深く理解していただくためのアプローチです。例えば、日本のお客さまであれば円、アメリカであればドルで具体的な金額を示します。

 ただし、単に過去の成功事例をお見せするだけではありません。私たちはより俯瞰的な視点、例えば顧客ライフサイクル全体を通してPendoを活用することで、あらゆる側面で「どれだけの価値が生まれるか」を明確に提示することを心がけています。

プロダクトマネージャーに求められる視点と「SXM」という新潮流

──セールスエンジニアリングとバリューコンサルティングは、プロダクトマネージャーにとってなぜ重要なのでしょうか?

ヤング:非常に重要です。なぜなら、プロダクトマネージャーの方々がPendoに初めて触れる際、最初に会話をするのが私たちのような立場にいる人間だからです。私たちの役割は、プロダクトマネージャーが直面している事業課題に対し、Pendoのプラットフォームがいかに貢献できるかを深く理解していただくことです。

 私はチームのメンバーに、「まず相手であるプロダクトマネージャーを理解することが最も重要だ」と常に伝えています。彼らが個人としてどのような目標を持ち、どんな課題に直面しているのかを理解することからすべてが始まります。まず個人に信頼していただくことで、その信頼がチーム、そして組織全体へと広がっていくのです。

──近年のグローバル市場において、ソフトウェアの購入方法にはどのようなトレンドの変化が見られますか?

ヤング:ソフトウェアの購入方法は、この10年、20年で劇的に変化しました。特に現代では、ユーザーは購入前に徹底的な下調べを行い、ある程度意思を固めてからセールス担当者に連絡を取るのが一般的です。

 このトレンド変化により、単に「このようなアナリティクス機能があります」とプロダクトの仕様を説明するだけでは、もはや顧客の心には響きません。それ以上に、検討しているユーザー(Pendoにとっては主にプロダクトマネージャーやIT担当者など)が置かれている現状や、彼らが目指す事業上のゴールを深く理解することが不可欠です。その上で、最適なソリューションをPendoを通して提供することが私たちの仕事だと考えています。

──そのようなトレンドの中で、プロダクトマネジメントには何が求められるのでしょうか?

ヤング:同じようなことがプロダクトマネジメントの世界でも起きています。特にAIの進化により、ソフトウェアを開発すること自体のハードルは下がりました。しかし、そこで重要になるのが「ユーザーを正しく理解しているか」という点です。

 ユーザーを理解していなければ、自分が作っているソフトウェアが本当に彼らのためになっているのか分かりません。ユーザーは満足しているのか、不満なのか。そうした感情を把握できなければ、ユーザーがなぜアプリを使わなくなったのかという根本原因も突き止められません。

 そこで私たちが提唱しているのが、「SXM(ソフトウェアエクスペリエンスマネジメント)」というコンセプトです。これは、単に技術的なソリューションとしてソフトウェアを作るのではなく、そこから生まれる顧客体験の全体像を管理し、可視化するという考え方です。これができて初めて、ビジネスを正しい方向に導くことができるのです。

──SXMの考え方は、ヤングさんご自身のエンジニア時代のご経験とどのように結びついていますか?

ヤング:私がソフトウェアエンジニアとしてキャリアを始めた頃は、ソフトウェアを企画、開発し、リリースすることがゴールでした。自分が作ったソフトウェアが正しく機能しているかどうかは、サーバーのログを見るといった間接的な方法でしか確認できませんでした。

 しかし、SXMの概念を取り入れることで、製品のライフサイクルは劇的に変わります。お客さまが本当に求めるものを、正しい形で提供し続けることができるようになります。その結果、お客さまは製品を愛し、信頼し、より長く使い続けてくれる。この好循環を生み出すことが、SXMの核心です。

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グローバル視点で見る日本市場の可能性とPendoの貢献

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この記事の著者

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。 1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテック...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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