【個】AI個人開発で取り戻す「野生のPM力」
午前の部を締めくくったのは、株式会社タイミーの小西裕真氏による「AI個人開発で『裁量・担当範囲・専門性』の成長課題を突破する」。
組織が拡大し、分業化が進む中で「調整業務ばかりで、自分で作る感覚が薄れている」「特定の機能しか見られず、プロダクト全体への裁量がない」というプロダクトマネージャー特有の閉塞感に対し、小西氏は「AIを活用した個人開発」という解決策を提示した。
小西氏は、実際にAI(Cursorなど)を活用して、自身の妻のために「麻雀学習アプリ」を開発した事例を紹介した。「奥さんが麻雀を覚える際、既存のアプリではカバーできていない課題があった」という身近な“N=1”の課題解決からスタートし、企画から実装、リリースまでをたった1人で完結させたという。
「AIをペアプログラマーとして使うことで、エンジニア経験の浅いプロダクトマネージャーでも動くものを作り切れるようになった。何より、自分ですべての意思決定を行い(裁量)、全工程を担当し(担当範囲)、技術にも触れる(専門性)ことで、失われていた『プロダクト全体の手触り感』を取り戻すことができる」と小西氏は語る。
これは単なる趣味ではない。「最小のCTO」としての視点を持つトレーニングであり、その経験は本業のプロダクトマネージャー業務における意思決定の質を劇的に向上させるという。
「AIは個人開発のハードルを劇的に下げた。組織の制約に関わらず、自分で機会を作り出せる」と笑顔で語る小西氏の姿に、会場からは「今日帰ったら何か作ってみよう」というポジティブな空気が広がった。
オフラインだからこその「熱気」と「出会い」
セッションの合間の休憩時間やランチタイムには、スポンサーブースや交流エリアが多くの参加者で溢れかえった。
今回は完全オフライン開催ということもあり、登壇者に直接質問を投げかける姿や、参加者同士で「今のセッション、どう思いました?」と名刺交換をしながら議論する光景があちこちで見られた。
SNS上でもハッシュタグ「#pmconf2025」には多くの感想に加え、印象的なスライドの写真と共に学びをシェアする投稿が相次いだ。
オンラインでの参加や、残念ながら現地に来られなかった関係者からは「羨ましい」といった声も上がっており、リモートでスタッフ業務を行うメンバーからの「現地参加される方は全力で学び、交流し、楽しんで」というエールは、久しぶりの完全オフライン開催の尊さを再認識させてくれる。
「pmconf 大阪」は、この後も夕方までセッションが続き、夜には懇親会(Drink up)も予定されている。
なお、当日のセッションの一部は後日公式YouTubeチャンネルでアーカイブ公開される予定だ。今回参加できなかった方は、ぜひチャンネル登録をして続報を待ってほしい。
また、12月4日には東京での開催も控えている。この大阪で生まれた熱気は、そのまま東京へと引き継がれ、日本のプロダクトマネジメントシーンをさらに加速させていくことだろう。
