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プロダクトマネジメントの基本を学ぼう

プロダクトマネージャーに必要な能力とは何か? スキルセットの全体像を解説

プロダクトマネジメントの基本を学ぼう 第7回


 前回まではプロダクトマネージャーの役割やプロダクトマネジメント業務の進め方を解説した。総合格闘技と称されることもあるのもうなずけるほど、幅広い領域を担当することがわかったであろう。このようなプロダクトマネージャーにはいったいどんな人が向いているのか、プロダクトマネージャーを目指す場合にはどんなスキルを習得すべきなのか、プロダクトマネージャーとして成長するにはどのようなスキルを伸ばすべきなのか、そんなことを疑問に持つ人も多いと思う。現在執筆中の書籍はプロダクトマネージャーの教科書的な書籍となることを目指しており、このスキルの全体像は書籍の根幹をなす部分となる。今回はその概要を解説しよう。

前回記事

第6回「あなたのプロダクトに「強い軸」はありますか? ぶれない意思決定のために、PMが押さえるべき3つの観点

プロダクトマネージャーのスキルは3+1で構成される

 プロダクトマネージャーは、事業計画立案をはじめ、ユーザー体験の設計、データ分析を用いた意思決定、ソフトウェア技術を中心とした技術の活用、さらには組織横断的となるチームメンバーを束ねるためのチームマネジメントスキルも必要となる。

 このようなプロダクトマネージャーに求められるスキルをわれわれは木の幹と葉に例えて下図の4つに分類した。スキル分類名が英語であるが、これはまだ検討中だ。書籍化される際には日本語や別の用語になっている可能性があることを留意いただきたい。

  • Business acumen skills
  • User & Market Insight skills
  • Technical skills
  • Team & Collaboration skills

 これらのスキルのうち木の葉にあたるBusiness acumen skillsとUser & Market insight skillsとTechnical skillsはプロダクトの提供先となるユーザーや市場を考えるに際して必要となるスキルであり、一方、幹となるTeam & Collaborationはプロダクトチームを率いるためのスキルである。

Business acumen skills

 Business acumen skillsはプロダクトを成功させるための商才だ。

 このBusiness acumen skillsの説明の前に、第2回で解説したプロダクトと事業の違いについておさらいしよう。

 第2回では、昨今、プロダクトの範囲がどんどんと大きくなっており、事業のほとんどをプロダクトが担っていることを説明した。例えばパソコンであれば、過去にプロダクトと呼ばれていたものは、ハードウェアのパソコンそのものだけであった。対して、事業が表すものはプロダクトであるパソコンに加えて、営業や、マーケティング、カスタマーサポートといったプロダクトをユーザーが利用するために必要な業務を含んでいた。

 しかしながら、今日では事業に含まれていた業務のデジタル化が進み、カスタマーサポートの代わりに、プロダクトの中に質問に答える機能が追加されるなど、もともとはプロダクトの外にあった業務をプロダクトが機能として取り込んでいる。他にも、何かキャンペーンを実施し、そのキャンペーンから新規流入したユーザーにのみ別のオンボーディングフローを見せることもあるだろう。デジタルマーケティングが盛んになったことにより、マーケティングの効果を最大化するための仕組みをプロダクトの中に取り込むことで、データを活用することができるようになった。

 そのような中、プロダクトマネージャーも事業視点で物事を判断する必要が増えてきた。例えば、事業の成果計測測定をプロダクト内部で測定できるように、適切にNorth Star Metric(プロダクトにおける重要な評価指標)やKPI(Key Performance Indicator。重要業績評価指標)を設計し、測定することなどだ。また、収益事業の場合、事業収益に対しての財務的な視点も不可欠だ。

User & Market insight skills

 User & Market insight skillsは、ユーザーとの対話からフィードバックを得たり、ユーザーや市場を観察したりするスキルだ。

 消費が「モノ」から「コト」に移り、人々の価値観も所有から利用、そして体験へと変化する中、企業において体験を彩るクリエイティブ能力やそれを分析する能力の重要性が以前より増している。

 観察を通じての共感から始まり、問題の定義、アイデアコンセプト作り、プロトタイピング、そして検証といった作業を通じて、ユーザーの求めているものを発見するフローが一例だ。ユーザーの課題を理解し、その解決策を試行することが求められている。

 このようなクリエイティブの思考法は、ユーザーへの価値提供を目指すものであり、一般的にはユーザー体験を生み出すことを目的としている。ユーザー体験と言うと、コンシューマープロダクトを思い浮かべるかもしれないが、エンタープライズ向けであっても、単に「使えるか使えないか」で購入されていた時代は終わり、「使いたいか」、さらに言うと「使い続けたいか」が重要な選択基準となっている。

 User & Market insight skillsを使って、ユーザーインサイトやマーケットニーズの把握をすることが必要であり、その先にあるより良いユーザー体験の構築を見据えて、プロダクトマネージャーはこのスキルを所有することが求められる。

Technical skills

 Technical skillsは技術を理解し、正しい決定をするスキルだ。

 ITが目覚ましい進歩を遂げる中、ITを中心とした技術の活用がプロダクトの成否を分ける状況になっている。技術の動向を注視し、プロダクトへの応用の要否や可否を判断するためのスキルがプロダクトマネージャーには不可欠だ。

Team & Collaboration skills

 Team & Collaboration skillsはチームを率いるスキルだ。

 プロダクトは1人では推進できない。立ち上げ途中のプロダクトの場合、極めて少数のメンバーだけが関わることもあるが、それでも社内のステークホルダーへの説明責任は生じる。社内外の関係各所に協力を依頼することもあろう。プロダクトの企画は良かったが、社内の賛同が得られなかったといった失敗事例を聞くこともあるが、そのような社内の関係者からbuy-in(賛同)を得ることもプロダクトマネージャーの仕事だ。

 プロダクトの立ち上げが順調に進めば、関係者も増えてくるだろう。そのチームを率いるためのスキルがプロダクトマネージャーには求められる。チームは複数の部署の異なる職種のメンバーにより構成される。プロダクトマネージャーは、その多様なメンバーから構成されるチームを率いる必要がある。さらには、Business Decision Managerとの交渉も行う。

 また、プロダクトを開発する際のソフトウェア開発手法や運用についての知識がなければ、開発チームとのコミュニケーションが難しいだろう。プロダクトを作り、育てる際にも、プロダクトマネージャーは適切な判断を行うことが求められる。そのためには、開発や運用の手法の理解と実践力が必要となる。

次のページ
Team & Collaboration skillsを支えるヒューマンスキル

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この記事の著者

及川 卓也(オイカワ タクヤ)

 早稲田大学理工学部を卒業後、外資系コンピューターメーカーに就職。営業サポート、ソフトウエア開発、研究開発に従事し、その後、別の外資系企業にてOSの開発に携わる。その後、3社目となる外資系企業にてプロダクトマネージャーとエンジニアリングマネージャーとして勤務後、スタートアップを経て、独立。2019年...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

曽根原 春樹(ソネハラ ハルキ)

 Fortune500系外資企業に入社後、SE、カスタマーサポート、マーケティングなど様々な役職を日米で従事。その後シリコンバレーでプロダクトマネージャーに転身。B2B、B2C領域で米系大企業・スタートアップの双方でプロダクトの世界展開に携わる。現在はSmartNews社米国法人にて日本のスタートア...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小城 久美子(コシロ クミコ)

 toC向けサービスを提供するWeb系企業に入社し、その後いくつかの企業で新規事業の立ち上げなどにエンジニア、スクラムマスターとして携わる。どう作るかより何を作るかに興味関心が移り、プロダクトオーナー/プロダクトマネージャーに転身。プロダクトマネジメントについてより深めるために、2019年よりTab...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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