小さく始める
UXリサーチを始められない理由として、「時間がないから……」「予算がないから……」「上司や同僚の理解がないから……」という3つの「ない」がよく挙げられます。UXリサーチを始めるためには、まず綿密に計画を立てて、予算を確保して、そのために上長の承認を得る必要があって……とたくさんのハードルが待ち構えていそうだと思う方もいらっしゃるようです。しかし、そのような3つが「ない」状態でも、小さく始めることはできます。
時間がなくても始められる
プロダクトマネージャーの業務は多岐にわたるため、「UXリサーチにそこまで時間をかけられない」と思われるかもしれません。たしかに、何十人に何時間もかけてUXリサーチをするのは大変な労力が必要です。
しかし、まず1人に30分話を聞いてみることから始めるのだとどうでしょうか? それでも多くの気付きを得られることに驚くはずです。また、あなたがUXリサーチに関する全ての業務を背負い込む必要はありません。チーム内で役割分担を行ったり、他の部署の力を借りたりしながら前に進めていけばいいのです。また、第1回でUXリサーチのメリットとして、「リリース前に小さく失敗しながら学びを増やせる」ことを挙げました。開発の手戻りが発生するよりは、今週30分時間をとってみることから始めるのはいかがでしょうか?
予算がなくても始められる
「UXリサーチとはお金がかかるものだ」というイメージがあるようです。たしかに、調査会社に全てお願いするとなると、数十万円から数百万円程度の予算は必要でしょう。しかし、それほど大きな予算をかけなくてもUXリサーチは始めることができます。
例えば、家族や友人にサービスを使ってもらって感想を聞き、社内の別の部署の人にプロトタイプを使ってもらってフィードバックをもらうのも一つのやり方です。「なんだ、そんなこともUXリサーチなのか」「もうすでに自分は始めていたのか」と思われるかもしれません。実際のユーザーに聞きたい場合も、サービス上でお知らせをお送りして募ったり、SNSで「こういう方、周りにいませんか?」と紹介をお願いしたりと、予算をかけずに行う方法はいくらでもあります。
上司や同僚の理解がなくても始められる
「UXリサーチをやる意義を上司や同僚はじめステークホルダーにどう説明したらいいのだろう?」と思われるかもしれません。たしかに、いきなり「UXリサーチをやりたい」「UXリサーチが必要だ!」とだけ主張しても、周囲の理解は得づらいでしょう。そこで、「UXリサーチ」という言葉を使わずに必要性を説明してみましょう。
例えば「『誰をどんな状態にしたいのか?』をきちんと言語化し、チームに説明できるようにしたい」「現状のサービスの課題を見つけて、改善施策を考えたい」などの目的とセットで、「その手段としてユーザーを理解したいので、何人かにお話を聞く時間をとります」と説明されるとどうでしょうか? プロダクトマネージャーとして重要な業務ですよね。本来、UXリサーチはプロダクトのWhy・What・Howを説明するのに役立つものです。ステークホルダーをまとめ、チームを率いるためにも重要な業務であることを相手にわかりやすいように伝えましょう。