Pendoは、ユーザーに愛されるソフトウェアづくりをサポートする、プロダクト分析やオンボーディングのためのSaaSを提供する企業。ForbesのThe Cloud 100に4年連続選出され、シリーズFの追加投資で、評価額が3000億円を突破した。Olson氏は、プロダクト開発の課題へのアプローチを説いた書籍『プロダクト・レッド・オーガニゼーション 顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築』(日本能率協会マネジメントセンター刊)の著者でもある。
スマートラウンドは、スタートアップの資金調達業務と投資家の管理業務を効率化する「smartround」を開発・提供する企業である。
データ駆動によって、物事をよりスマートに進められるようになる
砂川氏:著書で展開されている、理想の組織像についてお教えください。
Olson氏:書籍では、企業や組織が人間主導から デジタルプロダクト主導に変わるというコンセプトを紹介しています。プロダクトを全体的な体験の中心に据えることで、顧客によりよい体験をしていただけるだけでなく、効率的で効果的な方法でビジネスを拡大できるのです。
簡単な例を紹介しましょう。あるプロダクトを使っていて、それを気に入った人がHTMLのコードを見てみると「これを見ている人は当社に適した人材です」というメッセージが記されていました。これがプロダクト内のメッセージで候補者を見つける、プロダクト主導の採用活動です。
量が多くて価値の低い作業はデジタルのプロダクト主導で行い、人間はより深くより顧客に寄り添った業務を担当するのです。その組み合わせこそが、理想的な組織の姿です。
砂川氏:データ駆動型組織やプロダクト主導型組織というコンセプトは、あなたがシリアルアントレプレナーとして歩んできた道のりから生まれた考えですか?
Olson氏:私は 数字やデータ、データに基づくものが好きなのです。以前は直感と本能のままに行動していたこともありますが、もっとよい方法があるはずだと思いました。Pendoはデータ駆動の考えを実践しています。プロダクトのデータを集めるというコンセプトは新しいものですが、明らかにとても価値のあるものだと思いますし、実際よりよい結果につながります。
最初に作った会社は1997年に設立しました。クラウドやSaaSが登場する前です。オンプレミスソリューションを提案しデータの収集は困難で費用もかかったため顧客インタビューなどの定性的なフィードバックに頼っていました。定性的フィードバックは信頼できるものの、バイアスのリスクが高くなります。最後に交わした会話が一番印象に残るということもよくあるバイアスです。
そこで、何年もかけてよりよいデータを入手し、ブレンドすることでよりスマートに物事を行えるようになりました。