デザイナー以外もデザインプロセスに関わる「新しいデザインチーム」
谷(筆者):sakitoさんは、昨年までkintoneのサービスデザイン責任者でいらっしゃいましたが、昨年はkintoneのデザインチーム編成を大きく変更されましたね。どういった背景があったのでしょうか?
sakito:もともとデザインチームはデザイナーとリサーチャーだけのチームでした。そのため、デザインチーム内で“デザイン”が決まった段階で、ライターやデザインテクノロジスト(※1)、ローカライズ職など、ほかの開発メンバーにデザインが渡される流れになっていました。
(※1)デザイナーとエンジニアの橋渡しをする職種。主に、デザイナーからエンジニアへデザインを渡していく「ハンドオフ」のプロセスにおいて、エンジニア視点でデザイナーに対してフィードバックを行ったり、反対に、デザイナーの意図が伝わるようエンジニアの支援を行ったりする。
個人的にそうした開発の流れに違和感を感じていましたし、実際にデザインチームへの手戻りが多く発生するという課題もありました。デザイナー以外のメンバーも、もっと前の段階からデザインに関わるべきなんです。
谷:だからチームの形をその理想に近づけたわけですね。
sakito:そうなんです。デザインテクノロジストやライター、ローカライズ職も加えた職能混合のデザインチームに再編しました。さらにデザインシステムチームも合流させて、現在は15人程度で構成するオールインワンのチームになっています。
チーム再編に加えて、私がいつもメンバーに伝えているのは「チームでデザインを作ろう」ということです。デザイナーが1人で作るのではなく、ライティングの観点でデザインを変えたり、エンジニアリングの観点で情報処理を改善したりするなど、1つの開発に対して複数の視点でメンバー各々が貢献するのがデザインだと考えています。
谷:ワークフローを組織のあり方から再構築されてきたのですね。新しいデザインチームはkintoneというプロダクト全体の中でどのような働きをしているのですか?
sakito:プロダクトマネージャ―が主導する機能開発や改善に対して、デザイン面から実現に向けて伴走するような動き方をしています。例えば、こんな機能を作りたいという要望があれば、どんなデザインにすれば使いやすいか、エンジニアリング的にどう解決するか、それをスプリントの中でどう練り上げるかなどを、プロダクトのチーム内各所と検討していくような流れです。