想定している読者の方
- ユーザーコミュニティを抱えているサービスのプロダクトマネージャー、マーケティング担当者、コミュニティマネージャーの方
- 新しいサービスのグロースの形を模索しているすべての方
Backlogはリリースから約20年。開発者だけで広めてきた歴史
私たちが運営するプロジェクト・タスク管理ツールの「Backlog」は、2005年のβリリースから来年で20周年を迎える、日本のSaaSの中でも長い歴史を持ったサービスです。受託開発の会社として創業した翌年には、自社のサービスとしてβ版をリリースし、さらに翌年から有償化しています。
そんな長きにわたって「Backlog」を運営するヌーラボですが、2019年まで「マーケティング」の専門部門を持たない会社でした。それでもなぜサービスとして成長できたのかというと「コミュニティ」の存在が大きかったと聞いています。ここで言う「コミュニティ」は、特定の製品に特化したコミュニティではなく、OSSなどのような技術を軸に集まったメンバーで組織される、共通の目的を持った共同体としての意味が強いです。
具体的にはWordCamp Japanなどのカンファレンス運営をしているコミュニティの方々に試していただき、フィードバックをもらいながらサービスを改善していきました。「コミュニティ」の示す意味は少々異なるものの、これが私たちのサービスの最初の「コミュニティ」との接点であり、ここを起点にユーザーの輪が広がり、フィードバックループが大きくなっていく貴重な経験をしています。
コミュニティ内の「口コミ」でなぜここまで成長できたのか
その後もBacklogは、技術コミュニティだけでなく、さまざまなチームや会社で利用が広がります。「口コミ」でサイクルがうまく回った理由には、Backlog独自の料金体系があります。
Backlogは、人数課金ではなく契約組織単位の料金を採用しており、例えば期中に利用者数が増えても、プランを変更しない限り料金の追加請求はありません。
この独自の料金プランを武器とし、プラスのサイクルが回り始めます。
- 料金形態が積極的な「ユーザー招待」を後押し
- Backlogユーザーが1つの組織・企業の中で増加
- Backlogで成功体験をしたユーザーが増加
- 成功体験を持ったユーザーが組織・チームを超えてプロジェクトに参画する(異動や転職を含む)
- 新しいチームでBacklogの導入提案や成功事例の共有をしてくれる
このような「Backlogで成功体験を持ったユーザー」の皆さんによる伝播のサイクルをもっと拡大していこうと考えたのが「JBUG(Japan Backlog User Group/読み:ジェイバグ)」の始まりです。
このJBUGの活動は2017年に、ヌーラボの本社がある福岡からスタートしました。初めはコミュニティマネージャーが自ら主催となって運営するイベントとして。そこから徐々にユーザーの皆さん主体のイベントへ進化していき、今では全国18か所、120回以上のイベントを経て、2700名以上の方々にご参加いただく大きなコミュニティになりました。これも各エリアで尽力してくださっている運営者の皆さんのおかげです。