ユーザー体験のきめ細やかな分析により、施策の解像度や精度が大きく向上
強力なデータ分析環境を手に入れた今、プロダクトのグロースに不可欠という「継続率」の向上のために、具体的にはどのような取り組みが進められているのか。そのカギを握るのが、ユーザー体験だ。それも分析によって、ユーザーの利用期間や属性、目的など、さまざまな条件で影響を及ぼす体験が異なることが判明している。
例えば、ユーザーの登録直後から継続率を高めることが、長期の継続率に直結することが分析で明らかになっており、新規ユーザーを対象としたオンボーディングについて、登録から7日以降や14日以降の継続率を指標として、「リアクション機能」や「プッシュ機能の許諾」などの基本機能の利用サポートや機能改善などを行っている。この施策だけでも明確な指標の改善が見られたという。
「さらに分析からユーザーの新規登録以降の経過時間によって継続率を高める機能や行動が異なると判明しており、ユーザーの登録後の経過期間に応じた施策の出し分けを行っています。例えば、登録直後は“つながること”が大切なので相手の連絡先を登録する『コンタクト追加機能』、1週間後には『リアクション機能』をそれぞれサジェストしています。また、早期にアプリをダウンロードしたユーザーの継続率が高いことから、アプリのおすすめも実施しています」(新井氏)
また、単にサジェストするだけでなく、継続率に強い相関性があることがわかっているメッセージ送信機能やリアクション機能を利用してもらうために、メッセージのやり取りを増やした上でリアクションの利用を促すなど、さまざまな改善策を検討している。
「当然ながら、機能追加や改善などの施策は、エンジニアやデザイナーなども巻き込んで検討することが必要です。その際にも、データ分析によって施策の意味や目的の共有が容易になり、協働していただいている方々のモチベーション向上やスムーズな意思疎通に役立っていると思います」(新井氏)
入社して2年でグロース戦略の中核として活躍──存在価値が高まるデータドリブンな人材
今後について新井氏は、ユーザー個人単位だけでなく、組織や法人単位での分析を行いたいと語る。法人として利用を継続してもらうにはどうしたらいいのか、新たに組織に入った人が迅速にキャッチアップし、使いこなすにはどう支援すればいいのか、組織に属しながらも個人加入している理由やメリットは何か、法人会員となる際のきっかけは何か──。さまざまな切り口において、BtoBを考慮したデータ分析を行うことで、法人単位の利用継続率を高めることができる要因を探るというわけだ。必然的に分析環境の強化も求められる。
「基本的なプロダクトのデータなどは分析基盤に移行ができていますが、分析環境は完成したわけではなく、まだまだ拡張していきたいと思っています。例えば、ユーザーのコンタクトリストなどは、プロダクト側では、常に最新の情報があれば、事足ります。ただ、分析したいとなると、ユーザー単位でのコンタクト数の推移が見たいとなります。そのため、分析基盤側でコンタクトリストの日次のスナップショットを保存しておいて、履歴が見れるように改善しているところです。法人単位での分析の他にも、競合他社との比較分析などもリクエストされており、引き続きデータドリブンな環境づくりに注力していきたいと考えています」(田中氏)
データ活用・分析環境の進化により、プロダクトのグロース施策も急速度で進んでいる。その進行をさらに加速させるべく、kubellではデータサイエンスとプロダクト開発の両方に精通した人材の採用を進めている。
「まだ市場自体が成熟に至っていないため、開拓すべき余地は多く残されていると感じています。私自身もそこに魅力を感じてジョインしました。データドリブンなプロダクト開発・改善に興味のある方と共に、さらにプロダクトの提供価値を高めていけたらと思います」(新井氏)
「データアナリストとして私も、プロダクトマネージャー向けだけでなくカスタマーサクセス向けのレポート機能の開発など、新しい施策にも取り組んでいます。kubellの魅力は全社横断的なダッシュボードやデータアプリの作成、インフラ寄りのデータモデル設計もでき、事業を良くしたいと思う人の支援のために、多彩なチャレンジができる環境が整っていることです。プロダクトマネージャーが言葉を武器とするなら、データアナリストは言葉に加えて数字こそが武器となります。言葉と数字で建設的な議論を交わし、より良いものを作りだす環境がkubellにはあります」(田中氏)
2023年1月に入社した田中氏、同年4月に入社した新井氏とも、入社から2年も経たないうちに、「Chatwork」のグロース戦略の中核を担う存在として活躍している。設立20年目とはいえ、「Chatwork」のドメイン領域はまだ十分な伸びしろがあり、事業の拡大とともに大きな充実感や成長機会を得られるはずだ。興味のある方は、採用サイトより応募してみてはいかがだろうか。具体的な応募要項については、プロダクトマネジメント部の活動や取り組みを紹介している同社のブログにて詳しくまとめられている。
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(撮影場所:WeWork 乃木坂)