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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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「プロダクトマネージャーカンファレンス 2024」レポート

100人規模の組織でもスピードを失わない──ログラスが実践する「合議ではない」集合知型のチームづくり

「プロダクトマネージャーカンファレンス 2024」レポート

 プロダクト開発ではスピードの追求が重要だが、チームが拡大すると「考える人」と「実行する人」に分断され、速度が損なわれたり足並みが揃わなくなったりする課題が生じる。この解決には、明確なプロダクト戦略と適切なチームの巻き込みが必要だ。2024年12月5日に開催された「プロダクトマネージャーカンファレンス 2024(pmconf 2024)」では、株式会社ログラスの執行役員CBDO斉藤知明氏が登壇し、合議に頼らず集合知を活用して納得感のある戦略を構築することで、チーム全体の推進力を高めた自身の経験を共有した。

斉藤 知明(さいとう・ともあき)

株式会社ログラス 執行役員CBDO

1992年大阪生まれ。東京大学工学部卒。東京大学在学時にAI研究に従事、動画像を対象としたDeepLearningの研究で国際学会のICMEに論文が採択される。在学中に英単語アプリmikanを運営する株式会社mikanを協同創業しCTOに従事。その後Fringe81株式会社(現Unipos株式会社)に入社、ピアボーナスサービスUniposを立ち上げ子会社化、代表に就任。2023年5月、株式会社ログラスに入社。執行役員CBDOに従事。「すべての挑戦が報われる社会に」を個人ミッションとする。

組織拡大期の課題── 「考える人」と「実行する人」の分断

 株式会社ログラスは、「良い景気を作ろう。」をミッションに掲げ、新しいデータ経営の在り方を提供するDXスタートアップだ。主力製品であるクラウド経営管理システム「Loglass」は、企業内に散在する経営データを効率的に収集・統合し、一元管理を可能にする。可視化や分析機能を通じて経営判断の精度とスピードを高め、経営資源の最適配分を実現する。

 斉藤氏は、英単語学習アプリを提供するmikanの創業者CTOを経て、人事SaaS「Unipos」のCEOとして活躍後、2023年5月にログラスに入社。現在は新規事業開発を担当し、2年で10の新サービスを立ち上げるという目標のもと、驚異的なスピード感でプロダクト開発を推進している。

株式会社ログラス 執行役員 CBDO 斉藤知明氏
株式会社ログラス 執行役員 CBDO 斉藤知明氏

 斉藤氏は、今回のプレゼンテーションのテーマとして「合議で決めたいわけではないけれど、集合知で助けてほしい」を掲げた。これは、同氏がnoteで公開している自身の体験談を基にしたものだ。

 きっかけは、「考える人と実行する人の分断」という状況に直面したことだった。2023年9月時点でログラスの社員数は約100人に達し、プロジェクトチームも30人を超える規模に拡大。プロダクトマネージャーも1人から5人に増え、組織が大きくなる中で役割分担が固定化し、チームが分断される課題が浮上した。

チームの分断は、多くの企業に共通の課題である
チームの分断は、多くの企業に共通の課題である

 こうした状況下で斉藤氏がまず思ったのは「Speed is King」という方針だ。スタートアップとして活動する上で、スピードは最大の武器と捉え、この強みを損なうわけにはいかなかった。ただし、単に速さを追求するだけでは不十分だ。メンバーが納得できない状況ではチームは全力を出せず、それがスピードを阻害する要因となる。また、質の低い意思決定は無駄な時間を生み、良い戦略がなければ回り道をすることになる。

 理想は、広く情報を集め、迅速に意思決定を行い、全員が納得して実行力を発揮できる状態を作ることだ。そのためには、見えない視点や知見を取り入れる必要があり、チーム全体の知恵を結集し、納得感を共有することが求められる。斉藤氏は「納得していないことに人は力を発揮できません。納得感を大事にしようと考えたとき、社内ワークショップを企画する際にふと出たのが『合議で決めたいわけではないけれど集合知で助けてほしい』という言葉でした」と振り返る。

 斉藤氏はログラスに入社後、一部の顧客と深く関わる中で、他のプロジェクトや顧客の状況を十分に把握していないことに気づいた。戦略を一般的な意思決定で進めるだけでは不安を感じ、「みんなで作りたい」「みんなの力を借りたい」という思いから「集合知で助けてほしい」という言葉が生まれたのだ。しかし、合議で意見を集めるには時間がかかり、多数決が良い結果を生むとは限らない。

 「ダイバーシティって、ただ多様な人が集まるだけでは意味がなく、同じイシュー(課題)に対してみんなで知恵を絞り合い、議論を重ねることで初めて価値が生まれると考えています。ログラスでは、エンジニアたちが毎週集まって顧客ミーティングの録画を見ながら議論する文化があります。そのような知恵を活かして助けてもらいたいという思いが出発点でした」(斉藤氏、以下同)

合議はスピードが損なわれるため避けたいが、より広い視点で判断したい
合議はスピードが損なわれるため避けたいが、より広い視点で判断したい

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スピードと納得感の両立──後藤田五訓に学ぶリーダーシップ

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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