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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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日本一のプロダクトと開発組織を目指す、jinjer社の飽く無き進化

目指すは日本一の開発組織──ティール型組織の導入で組織課題を“解決”し続けるjinjerのチームビルディング

日本一のプロダクトと開発組織を目指す、jinjer社の飽く無き進化 第1回

組織変革で得られた効果

 このような組織の変革を経て、チームビルディングをする上で得られた副次的な効果がいくつかありました。

1.各チームが、現場レベルで判断と意思決定を行うようになり、開発プロセスの速度と品質が向上した

 ヒエラルキー型組織の「指示待ち状態」が徐々になくなったことで、開発メンバーの判断力が大幅に向上しました。これは、プロダクトの品質を飛躍的に改善させることにつながりました。

 また、以前よりも個々人が他プロジェクトに対しても主体的に議論に参加するようになったことから、スピーディな開発をすることにつながりました。ここで大事なポイントとして、「個人の思想に偏らず、さまざまな角度から活発に議論されて意思決定がなされた」という点にあります。上記を通じて、より主体的で柔軟な組織を構築できたと思っています。

2.メンバー発案で「技術負債を解消するチーム」が組成された

 メンバー発案で、ストラングラーフィグパターン(※2)に対応するチームが組成されました。

 成果としては目に見えて出てくるものではないですが、プロダクト開発において重要となる「技術負債と向き合う」という点に、多くのメンバーが尽力してくれることになりました。システム基盤をモダナイズするべく、さまざまな観点で全メンバーで活発に議論がなされ、技術負債の解消に向けて前進することになりました。

(※2) 参照:Qiita「システム移行戦略「レガシーミミックパターン」&「ストラングラーフィグパターン」とは?」(@minorun365氏)

3.プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャー間のコミュニケーションが円滑になり、業務が効率化した

 ティール型組織が浸透してから、プロジェクトマネージャーやSEが主体となって多くの勉強会が自発的かつ定期的に開催されるようになりました。特に新プロダクトの開発が続々と開始されたタイミングで、この自発性と円滑なコミュニケーションの影響力が発揮されたと思います。例としては、全開発メンバーが集まる場が、定期的に実施されるようになったことでプロジェクト間のコミュニケーションが向上し、各プロジェクトの進捗がスピーディに進むようになりました。一見して細かな連携が、日常的に行われることで、各プロジェクトの開発がよりスムーズに機能するようになり、開発の品質を向上させることができました。

同じゴールを見据えたチームビルディングを第一に

 これからティール型組織への移行や組織変革を予定している企業の皆さまにお伝えしたいのは、「ティール型組織の在り方」をゴールとして捉えるのではなく、それを手段として活用しながら、チームビルディングを重視することの重要性です。

 ティール型組織の最大の特徴は、柔軟で自由な環境の中で、メンバーが自律的に行動できる点にあります。共通のゴールを共有することで、各メンバーが自らの意志で業務に取り組み、担当範囲を超えて新たな価値を生み出す文化が育まれます。権威委譲を行うことによる、この「自由」と「自律性」こそが、組織全体の成長を支える糧となります。

 私たちが目指すのは、「日本一の開発組織」になること。その実現のために、メンバー全員が「日本一の開発メンバー」としてふさわしい行動を取れるような組織を構築しています。その手段の一つとしてティール型組織の理念を採用し、組織内に浸透させるために日々努力を重ねています。

 実際に、以前は500~600件にも上った組織課題が、ティール型組織への移行後には約2~3割にまで減少しました。この結果からも、開発組織に課題を抱える企業にとって、ティール型組織の導入は非常に効果的な取り組みであると確信しています。

 ティール型組織の柔軟性を最大限に活かしながら、全員が同じゴールを目指して一体感を持ち、進めるチームビルディングを優先することで、各企業の開発組織はさらに大きな成長を遂げることができるでしょう。

 次回の記事では、ティール型組織への移行に伴い、現場が感じていたことに加えて、フラットなティール組織で、チーム全員をワークさせるために必要なチームマネジメントの手法について紹介していきます。

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この記事の著者

高村 亙(jinjer株式会社)(タカムラ ワタル)

執行役員 CTO プロダクト統括本部 プロダクト開発本部 本部長 組み込みエンジニアとしてさまざまな案件に従事。2019年に大手人材会社に入社しWeb会議システムや「ジンジャー勤怠」の開発責任者を担当。その後EC業界に転向しVPoEとしてプライムへの鞍替えに貢献後、オフショア開発企業にて役員と...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山本 大地(jinjer株式会社)(ヤマモト ダイチ)

プロダクト統括本部 プロダクト開発本部 VPoE 2017年に大手人材会社に新卒で入社。営業、CS、開発を担当しSIerに転向。数々の新規プロジェクトのマネジメントをしながら新規組織の立ち上げや組織拡大に貢献。2023年5月にjinjerに入社。現在はVPoEとしてエンジニア組織のマネジメントやプロダクトのグロースに関わる業務を担う。 X:@jinjer_daichi https://x.com/jinjer_daichi

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/3219 2025/02/25 11:00

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