成果を出さない人や、成果のための行動をとらない人は信用されにくい
横道氏は、信頼を獲得できなかった理由を「成果とアライメント(同じ方向を向くこと)の問題」と「姿勢とマインドの問題」に大別し、さらにそれぞれ3つ、計6つの問題領域があるとして解説した。
「成果とアライメントの問題」の一つは「1.スキルと実績の不足」だ。これは、必要な能力や成果を十分に示せなかった状況である。業務スキルの欠如やアウトプットの品質低下、ロジカルな思考の不足、伝達能力の不足、期待される成果への未到達が挙げられる。これらの問題はAサイドと密接に関連しており、業務遂行の基礎となるロジカルさが不足していると、スキル獲得や成果の発揮において大きな障壁となる。
次に「2.目的思考の欠如」。目的に基づく行動や思考が不足していたことを意味する。目的やゴールを念頭に置けない、より上位のゴールへのアライメントができていない、手段に固執しすぎる、共同所有している目的を持てていないなどの問題がある。スキルやロジカルさがあっても、それを発揮する方向性がずれていると成果につながらない。自分の目的だけを見ていると周囲とのずれを感じさせ、信頼獲得が難しくなる。
これら2つは特にジュニアからミドルレベルで多く見られる。横道氏は「当然ながら、成果を出さない人や成果のための行動をとらない人を信用しようとは、なかなか思わないと考えています」と述べた。
「1.スキルと実績の不足」の解消には、求められるスキルの全体像の把握が第一歩だ。まずプロダクトマネジメントに関する情報源を探し、期待される成果を明確にする。上司との1on1を活用して期待される成果を明らかにして、必要なスキルに集中して磨いていく。さらに、達成すべき中間的な成果を設定して達成していくのも効果的である。
「2.目的思考の欠如」の解消は、目的思考の習慣化と実践だ。すべての行動や成果物には目的が存在し、例えばPRD(要求仕様書)を作成する際も、誰にどんな価値を提供し、どのような状態にしたいのかを常に考えたい。横道氏は加えて「クリティカルシンキングという、前提を疑う思考法が重要」と唱えた。また、ここでも上司との1on1を能動的に活用して目的思考を深めたい。