LINE証券株式会社 PM サービス・マーケティング担当執行役員 石川紘子氏
新卒で人材サービスに入社し、営業や営業企画、マーケティング、サービス企画の経験を積み2017年にLINE株式会社へ入社。「LINEデリマ」「LINEキャリア」の立ち上げに携わり、2018年よりLINE証券のサービス企画職となり2021年よりLINE証券株式会社のサービス・マーケティング担当の執行役員を務める。
投資をしたくてもできなかった層にリーチするプロダクト
LINE証券は、2021年10月に口座開設数100万を突破した。同社の調査によるとサービス開始から2年2か月での達成は大手ネット証券5社(SBI証券、楽天証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券)では最短だとしている。スマートフォンでのコミュニケーションツールとして普及しているLINEのグループ企業として、スマートフォンにフォーカスしたプロダクトとしているほか、コロナ禍で株式投資を始める人が増加したことも追い風となった。そこでプロダクトの指揮をとるのが石川紘子氏。2017年にLINEに入社し、2018年からLINE証券の業務に携わっている。
LINE証券は、LINE傘下のLINE Financialと野村ホールディングスが共同出資して設立されたジョイントベンチャー。プロダクトやマーケティングといった顧客に接する部分はLINE側が担当し、金融商品企画やコンプライアンス、オペレーション等は野村ホールディングス側が担当する。石川氏は、プロダクトを企画するサービス企画チームと、口座獲得を担うマーケティング企画チーム、CRMを担うサービスグロースチームを担当する執行役員である。担当チームについて石川氏は次のように説明した。
「チームには、プロダクトのグロースや新規プロダクトの企画など、プロダクトマネジメント領域を担当するメンバーがいます。デザイナーや開発者は、LINEやLINE Financialのメンバーが担当。UIデザインは5~10名、マーケティング向けのランディングページを作るデザイナーが1名、開発者はQA(品質保証)も含めてプロダクトのフロント開発にはLINE Financialなどから100名ほど参加しています」(石川氏)
LINE証券がプロダクトをローンチしたのは2019年の8月末で、石川氏はその1年前からプロダクトの立ち上げプロジェクトに参加。これまで資金がなく投資に踏み出せなかった人やスマホネイティブな若い世代の人も利用できるサービスにするという目的のもと、プロジェクトは始まった。株式投資はある程度まとまった資金が必要とされてきたが、投資未経験者が手軽に参加できるよう、少額から投資できるサービス設計を行っていった。現在のユーザーは、投資未経験者が64%、20~30代が過半数を占めるなど、想定したターゲットにうまくリーチできていると言える。
少額からの株式投資は、ほぼ未開拓のマーケットだと石川氏は言う。また社会環境として、『つみたてNISA』や『iDeCo(個人型確定拠出年金)』、さらには『FIRE(Financial Independence, Retire Early)』といった言葉も話題になっている社会的な背景もあり、若年層を含むこれまで投資に無関心だった方々も投資や資産運用に興味を持つ傾向が強まってきた。LINE証券では、これから投資家として育っていくスタート地点に近いユーザーにも、投資や資産運用でのベネフィットを感じてもらうために、さまざまなサービスを揃えてきている。コミュニケーションサービスとして広く国民に浸透しているLINEが提供するサービスということでタッチポイントの強さはあるものの、株式投資の新しい市場を開拓したことが事業の成長につながったのだ。