「慎重かつ確実に」進めたリニューアルのプロセス
ここからは、具体的なリニューアルの工程について説明された。星野氏は「PC版Yahoo!メールは、大規模で複雑なプロダクトであり、リニューアルは慎重かつ確実に進める必要があった」とする。
プロセスは、「調査」「設計」「開発」「テスト」「リリース」「改善」「統合(旧版のクローズ)」の各フェーズに沿って、段階的に進められた。
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「調査」は、ログ分析やユーザーアンケートなどから、現状のサービスの使われ方を把握するフェーズだ。アンケートは、同社が運営するYahoo!メールファンのコミュニティ「Yahoo!メールサポーターズクラブ」の協力を得つつ実施した。
「Yahoo!メールサポーターズクラブ」は、2016年7月から運営されている、ヤフーとYahoo!メールユーザーとの間で、双方向のコミュニケーションを行うコミュニティだ。ブログ形式の会報発行やメールマガジンの配信、イベント開催などを定期的に行っており、今回のリニューアルにあたっても「特にヘビーユーザーにとって重要な機能が何なのかを開発側が知るうえで、有用なフィードバックを受けた」(星野氏)という。
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次のフェーズとなる「設計」では、調査フェーズの結果をもとに、UI/UXの統合および一貫性の向上と、使い勝手の維持、向上を目指したリニューアルの方針を策定した。前出の「4つの改善ポイント」は、特にプライオリティの高いゴールとして設定されている。
「開発」フェーズでは、ヤフー全体で推進している「よりモダンな開発環境」で、職種を超えた共同作業を行ったという。具体的には「React+TypeScript」による全面的なリファクタリングであり、将来的な改善も、迅速かつ容易に行える環境整備を意識したとする。
「以前、PC版Yahoo!メールについては、静的なテンプレートとロジック入りのテンプレートが別々に管理されており、それぞれに触る職種が異なっていた。リニューアル以降は、Reactによるコンポーネントベースの開発となり、デザイナーとエンジニアが共同で設計、管理を行えるようになった。これにより、開発と改善のスピードアップを実現した」(星野氏)