急成長中のスタートアップが直面する「2つの課題」
――片岡さんは、ポッドキャストなどで、大企業だけでなく、すでに内製化が一般的なスタートアップ企業でも「成長の過程で課題に直面する」と指摘されていました。それはどのようなものですか。(片岡氏のポッドキャスト)
片岡:ゆめみに相談をいただくスタートアップの多くに共通するのは、会社がシード期やシリーズAを過ぎ、エンジニア組織の規模としても20~30人になって、これからさらに人数を増やし、成長を加速したい時期に差し掛かっているという状況です。
この時期のスタートアップが抱える課題としては、大きく2つあると思います。
スタートアップの場合、特に立ち上げの段階では、どうしても、ある程度の技術的負債を許容しながら、ビジネス重視でプロダクトをグロースさせていかなければならない時期があります。この技術的負債は、そのままにしておくと、人を増やしても生産性が上がらなくなったり、機能開発が進まなくなったりするので、どこかで返済をしなければならないのですが、そのタイミングが難しいのですね。
それまで、いわゆるフルスタック的にプロダクトに関わっていたエンジニアも、その時期になると、ある程度は専門性をもとに分業をしていく必要が出てきます。また、どうしても「技術的負債の解消」は内部から動き出しづらい作業でもあります。
この場合、ゆめみが外部から介入して、まず初めに、ドキュメントを整備したり、リファクタリングをしたりといった形で支援を行います。これにより、人が増えても生産性を下げずに、プロダクトをグロースさせていく環境を作りやすくします。ゆめみには、パートナーを含めると200人以上のエンジニアが関わっているので、単純に言えば、20人のエンジニアがいる組織と比べて、そうした課題解決の知見は10倍以上あるということになります。
もう一つの課題は「コアのリーダー依存」による弊害です。会社も100名規模になってくると、マネージャーを置いたマネジメント構造が必要になります。それまでコアな部分を見てきたリードエンジニアは、プロダクトの仕様や設計を最も理解しているキーパーソンですが、そうした人が、評価や採用、人材育成といったマネジメントにも携わることになると、どうしても時間が足りなくなり、結果としてサービス開発のボトルネックになってしまいます。
その場合、SESを利用したり、フリーランスのエンジニアを補充したりすることで技術面の負荷を軽減しようとするケースもありますが、そのような場合でも、長期的な視点で見た場合、技術に関するノウハウが個人に依存してしまうリスクも高まります。
そうした課題に直面している企業をサポートする場合、われわれは「組織」として、仕様や設計への理解を蓄積していくことができます。その理解を通じて、細かい詳細設計や要件定義などの部分については、ゆめみ側で巻き取って作業し、事業会社側のリードエンジニアは、大枠をレビューするだけで大丈夫な状況を作っていくことができます。負荷の減ったリードエンジニアは、会社を成長させるための新たなプロダクトづくりにも関わりやすくなります。
工藤:スタートアップに、プロダクトやプロジェクトのマネジメントについて、十分な経験のある人がはじめからいることは、まれだと思います。短期的な目標達成のために、SESやフリーランスを活用するというのは効果的なやり方の一つではあると思うのですが、企業としての将来性、計画性を考えたとき、社外のスキルやノウハウに依存しながら課題を克服する状況はリスクにもなります。あくまでも「組織」として、課題を解決し、その知見を蓄積していくべきなのですが、それもまた簡単ではありません。
ゆめみ自身も、これまでの事業経験の中で、さまざまな失敗をしながら、そうした課題を克服してきました。そのプラクティスを、これから成長していこうとしている急成長スタートアップにも提供していくことが、現在のわれわれのミッションであると感じています。
スタートアップの中には「ゆめみは、大企業向けにビジネスをしているから、ベンチャーが相談しても金額感が合わないのではないか?」と思っているところもあるかもしれませんが、コスト構造を抜本的に改善し、妥当な金額感で支援できる体制を構築しました。