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ProductZine Day 2024 Winter

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新規事業開発のための「プロダクト開発」の進め方

机上のアイデアを価値あるプロダクトへと昇華させる「プロトタイピング」のすすめ

新規事業開発のための「プロダクト開発」の進め方 第1回


 プロダクトや事業に責任を負い、市場や顧客の状況を見ながら、「何を」「どのように」作るのかといった「プロダクト開発」の知見やスキルの重要性が高まっている昨今。不確実性に立ち向かうため、職種や役割の枠を越えて他者と協力し、いち早く試し、ユーザーにより多くの価値を提供する実践が必要となっています。本連載では、新規事業開発の支援を専業に、数千社以上を支援してきた実績がある株式会社Relicに、新規事業開発の観点から「プロダクト開発の課題・知見」をもとに、プロダクトづくりの失敗を防ぎ、より多くの成功をつかむための知見を共有いただきます。今回は、執行役員CCO (Chief Creative Officer) / サービスデザイン事業部長の黒木裕貴さんに、新規事業開発の成功率を高める「プロトタイピング」の進め方をご紹介いただきます。(編集部)

プロトタイピングに潜む落とし穴を理解する

 「プロトタイピング」とは、完成品のプロダクトを作る前に、完成品に近い試作品(プロトタイプ)を早期に作る開発プロセスです。アイデアを具現化することで、ユーザーはプロダクトの疑似体験が可能になります。実際に触ることで新しい気づきやフィードバックを得られやすく、軌道修正しながらプロダクトを改善できます。

 Relicではこれまで、新規事業開発に特化した共創型エンジニアリングサービス「Digital Innovation Studio」や新規プロダクト開発における仮説検証をノーコード開発・ローコード開発を駆使して支援する「Agile Prototyping Lab(アジャイル プロトタイピング ラボ)」など、これまで培ってきた知見やノウハウ、テクノロジーやデザインを駆使し、新規事業のアイデア検証から事業化まで多くの新規事業アイデアをカタチにしてきました。事業の成功確度を上げるためにわれわれが重視しているのは、仮説検証をスピーディーに行いプロダクトの課題を早期に発見して余計な手戻りを防ぐことです。

 そのために、できるだけ早い段階において低コストで施策検証し、成果物の質を高めていくためのプロトタイピングを積極的に取り入れるようにしています。プロトタイピングには便利な面もありますが、最近では言葉だけが先行し、本質的なメリットまで考慮できていないケースがあると考えています。プロトタイピングを行ううえで、気をつけるべきことはいったい何なのでしょうか。次項でよくある失敗事例について紹介したいと思います。

よくある課題:何を作ればつくればいいのかわからない……

 プロトタイピングと一口に言っても、多くの種類が存在しています。目的や状況に応じて、私たちはどのようにプロトタイプを選ぶべきでしょうか。プロトタイピングの陥りがちな失敗例として、自分たちのアイデアを検証する際に、適切なプロトタイプが分からないというケースが挙げられます。原因として考えられるのは、何を検証すべきかが不明確な状態でプロトタイピングに取りかかろうとすることが考えられます。検証すべき項目を定めずにプロトタイピングを進めたが故、中途半端な未完成品ができてしまうというのはよくある話です。

よくある課題:どのように改善していけばいいのかわからない……

 たとえ、プロトタイピングの重要要素として「小さな失敗を繰り返す反復(イテレーション)」が挙げられるとしても、大抵の事業には予算や期間などの制限があります。プロトタイピングを繰り返した結果、膨大な時間とコストを浪費してしまうことがないよう注意も必要です。また、ユーザーからのフィードバックを得られたとしてもそれをどのようにプロダクトに反映すべきか分からないケースもあります。個人の嗜好/感性や、利用している環境、状況など、フィードバックは多種多様です。すべての意見を愚直にプロダクトに反映した結果、良くも悪くも存在していたプロダクトの角が取れてしまい、他のプロダクトとの差別化ができなくなってしまうケースが往々にして見受けられます。次項から上記の課題に対する対処法を紹介します。

次のページ
検証項目を明確にして、最適なプロトタイプを決める

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この記事の著者

黒木 裕貴(株式会社Relic)(クロキ ユウキ)

株式会社Relic 執行役員CCOサービスデザイン事業部長。 横浜国立大学を卒業後、大手ITコンサルティングファームにて法人向けシステム開発を多数経験した後、サイバーエージェントグループにてソーシャルゲームやSNSのフロントエンドやiOSアプリの開発に従事。その後、DeNAで主にECやSNS系サー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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