研究だけでは終わらない、真の課題解決に挑むR&D組織
──まずは西田さんのバックグラウンドを教えていただけますか。
私は大学・大学院で経済学を専攻しており、中でもデータを使ってビジネスを生み出すところに関心がありました。その知識を活かすべく、卒業後はシンクタンクに就職。政策評価に携わっていたのですが、大学院時代にインターンシップでビッグデータに触れた経験が忘れられず、2017年6月にSansanに転職しました。
Sansanでの私のミッションは、ユーザーに、蓄積したデータを活用してもらうための新機能を開発すること。そのフィールドの一つとして、Sansan Labsという実験的な機能群があります。
──Sansan Labsが生まれた背景を教えてください。
もともとデータの分析結果を役員陣に報告する会議体があったんですね。そこでデータの活用方法についていろいろな議論をしているなかで、代表の寺田(親弘)から「これらを『Sansan Labs』としてまとめてリリースすれば、実際にユーザーさんに触ってもらいながら、本体に取り込む価値があるのかどうかを検証できて、いいんじゃない?」という話があって。2018年3月にリリースしたのが最初です。
──西田さんが所属されているSocSciグループには、西田さんのような研究職の方が所属されているのでしょうか。
そうですね。SocSci=Social Science(社会科学)。私は経済学でしたが、他にも社会学や経営学を専攻していたメンバーが在籍しています。グループが発足した当初は、社会科学のアプローチを取り入れながら、データをエビデンスとして意思決定に活かしていく方法を研究していたのですが、そこからどんどん役割が拡張していって、今では「社内外にあるビジネス課題を自ら発見し、それらを解決すること」を主なミッションとしています。
──R&Dというよりは、もはや新規事業開発に近いイメージですね。
まさに、R&DらしからぬR&Dだと思います。Sansanの研究開発部には、過去に大手企業で研究開発に取り組んでいて、製品化まで至らなかったことに対するフラストレーションを抱えたメンバーが多いんですよね。これを解消するには、実際に自分たちでつくってリリースするところまで踏み込むのが一番だろう、という狙いがあります。
──実際、SocSciグループでは、どんなふうに物事を進めているのですか。
例えば、社内の営業と議論しながら、営業活動の効率化に役立つデータ活用アプリをつくって、まずは社内で検証した後、Sansan Labsでユーザーさんにも公開するとか。逆に、Sansanのユーザーさんから要望のあったアイデアを形にして、それを社内の営業部門向けにアレンジして独自の社内アプリを開発するようなこともあります。