6.3 「現場の楽しさ」から、「次の楽しさ」へ
このタイミングで、多くの1人目PMが葛藤するのが「現場への未練」です。
仕様を詰め、リリースを見届け、ユーザーの反応に一喜一憂するあの感覚。それはPMの醍醐味であり、プロダクトの最前線にいる者だけが味わえる幸福です。
ですが、この先に進もうとするあなたに必要なのは、「新しい楽しさ」を見つけることです。
- 戦略を描く楽しさ
- 組織や仕組みが自分の手で変わっていく快感
- 数年単位の投資判断を通じて、事業の未来を動かす興奮
現場は楽しい。だが、それに留まれば、その役割を他の誰かに取って代わられる可能性もあります。経営から「よりスピードのあるCPOが必要」と判断されれば、いずれ外から「降ってくる」のです。
だからこそ、あなた自身が次の楽しさを選び取りに行くべきなのです。
6.4 組織をグロースさせる「経営視点」のプロダクトリーダーへ

ここでも前回の教訓が活きます。「隙あらば委譲」「自分でやらない」──これが次のフェーズに進むための前提です。
ただし、ここでの委譲は、単にPMチームのオペレーションを任せることではありません。
- PMという職能にとらわれず、組織としてプロダクトを伸ばす「仕組み」を作る
- EMやBizDevとも連携し、クロスファンクショナルにスピードを上げる
- 経営層としての目線で、どこに賭け、どこを捨てるかを判断する
あなたが作るべきなのは、「PMチーム」ではなく、「事業成長を後押しする組織ケイパビリティ」なのです。プロダクトの意思決定の質とスピードを、どう構造的に最大化できるか。そこに思考を振り切れたとき、あなたは「PMとしての完成形」に近づいているといえるでしょう。