はじめに
モノグサの大野と申します。弊社はEdTechスタートアップ企業であり、記憶の定着に注目した「解いて憶える」SaaS型学習サービス「Monoxer」を展開しています。
「Monoxer」はスマートフォンアプリを通じて、「あらゆる知識を最も効率的に記憶できるよう、順序×頻度×多様な問題形式で出題する」ことで、効率的な記憶定着をサポートするサービスです。現在、多くの学校や塾、企業を中心に、記憶の定着とその可視化を支援する仕組みを提供し、学業成績の向上、資格取得、企業研修のサポートを行っています。
弊社は「記憶」に特化したサービスと事業を展開する、他に類を見ない会社であると自負していますが、2年前までプロダクト開発組織にプロダクトマネージャーチームは存在しませんでした。私がプロダクトマネージャーのリーダー(その後VPoP)として入社して以降、チームの立ち上げや運営に取り組み、その実践を通じて得た知見をもとに、この記事では良いチームの立ち上げ方や、中途入社者のチームへのスムーズなジョイン方法についてご紹介します。
1.入社1か月目──何よりも大事なのは「信頼関係の構築」
プロダクトマネージャーは、転職や社内異動などで新しい環境や担当プロダクトにチャレンジする機会があります。こうした挑戦はキャリアを広げる貴重な機会となる一方、適応に失敗するとモチベーション低下やパフォーマンスに悪影響を及ぼし、ひいてはプロダクトの成長やユーザー体験にも影響を与えかねません。そのため、新しい環境でのスタートダッシュは非常に重要です。
プロダクトマネージャーが新しい環境でまず取り組むべきことは、プロダクトの課題分析や方針の策定よりも、「周囲の人々との強固な信頼関係を築くこと」です。極端に言えば、この信頼関係さえ築ければ、他のタスクは一時的に優先度を下げても問題ありません。
プロダクトマネージャーは立場上、顧客・ユーザーやビジネスパートナー、社内のさまざまな職種の人たちなど、多くのステークホルダーとコミュニケーションを取り、信頼関係を構築する必要があります。その際に重要なのは「相手の期待値に120%応えること」です。もちろん、長期的には成果を出し続けることが求められますが、入社直後の短期間で目に見える成果を出すのは難しい場合も多くあります。そのため、最初の信頼構築のステップとして、キャッチアップのスピードを意識することが大切です。
例えば、「まだ入社1週間なのに、もう顧客課題やプロダクトを理解している」と思わせることができれば、信頼構築の大きな一歩になります。そのため、最初の数日から1週間は、ドキュメントを徹底的に読み込み、多くの人と1on1を実施し、関連する会議に積極的に参加するように心がけましょう。自ら積極的に行動することで1か月後には「まるで1年以上担当しているかのよう」と周囲に感じさせることができれば、このフェーズの目標は達成と言えるでしょう。
なぜ信頼関係構築が重要かというと、プロダクトマネージャーはプロダクトの戦略や優先順位を決定し、チームを巻き込んだ意思決定を行う役割を担います。信頼関係という基盤がない状態では、意思決定に対して「本当に正しいのか?」といった疑念や指摘が発生しやすく、効果的なリーダーシップが発揮できません。プロダクトマネージャーとして、周囲のサポートを得ながら迅速に正しい意思決定に到達するためにも、まずは信頼関係を築くことが不可欠です。これは、後の成果やチームの協力体制をより確固たるものにするための重要な土台となります。