2.2 自分の中に「都市」を持て
会社全体を「国」に例え、プロダクトを「国の中の都市」にたとえるなら、あなたはその“市長”です。
この都市をどう設計し、どう発展させるか──その全責任があなたに託されています。確かに、プロダクトの重要性は企業によって異なります。プロダクトが事業のコアである企業もあれば、営業やマーケティングが主導する企業もあります。しかし、その重要性は違えど、どのケースでも1人目PMは「長」としての役割を果たす必要があることには変わりがありません。

このとき、重要なのは「都市=プロダクト」の全体像を、自分の中に確かなイメージとして持つことです。
単に機能の一覧を頭に入れるのではなく、
- 誰が住んでいて(ユーザー)
- 何に困っていて(課題)
- どんな未来を望んでいるか(価値)
を一つひとつ具体化していくプロセスです。
また、そこには、
- どんな人が働き(チーム)
- どんなルールが必要か(開発プロセスや意思決定の仕組み)
も必要不可欠です。
2.3 言語化せよ──ビジョンと戦略を“見える化”する
あなたが社長の考えを深く理解し、自分の中に「都市」のイメージが持てたら、次にやるべきは“言語化”です。
言葉は思考の地図です。あなたの中にあるビジョンや戦略を言葉にすることで、初めて他者と共有できるようになります。以下のような問いに、言語で答えられる状態になっているでしょうか?
ビジョンの言語化
- 私たちのプロダクトが解決する課題は何か?
- どんな人に、どんな価値を届けるのか?
- 会社のミッションとどのように結びつくのか?
- それはなぜ“いま”必要なのか?
戦略の策定
- どの市場をターゲットにするのか?
- 他の選択肢ではなく、なぜ私たちなのか?
- どの機能・施策にリソースを投下すべきか?
この言語化は、チームにとっての「北極星(North Star)」になります。
これにより、これまで議論しきれていなかった他メンバーとの差分や、社長の頭の中にしかなかったものを表出化させることがのちに大きな効果を発揮します。方向性が不明確な状態では、どんなに優秀なメンバーが集まっても、船は進みません。逆に、明確な言葉があれば、まだ仕組みが整っていなくても、前に進む推進力が生まれます。